2-5. コンテナ輸送

5)コンテナ輸送
貨物をより安全に迅速に届ける方法として、コンテナ船による輸送がある。
コンテナ船のメリットとしては、雨中荷役が出来、且つ、荷役が速い為SAILING SCHEDULEが正確であり、さらには一般的にコンテナ船の航海速度が速いので、在来船より速く、現地に届ける事が出来ることである。又、盗難や荷痛みの防止、梱包費用や陸上輸送費の削減が挙げられる。一方またデメリットとしては長尺貨物、重量貨物、不安定貨物、危険物の輸送には適さないことが挙げられる。
コンテナ輸送をする場合、その貨物の数量や種類に因って、取扱方法が異なってくる。
まず、コンテナ船の種類、コンテナのサイズの明細を、下記に掲げる事にする。
(1) DRY CONTAINER

2015年4月 於福岡県博多港
一般雑貨の輸送に適しており、20×8×8.6(ft)、40×8×8.6(ft)が一般的であり、特殊な例としては、20×8×9.6(ft)、40×8×9.6(ft)のHIGH CUBE CONTAINERや8×10×35(ft)のコンテナがある。
その外寸、内寸、重量、最大積載量はアルミ製、スチール製等、メーカーにより様々であるが、大旨、それぞれ下表の様になっている。そしてその他のコンテナのDIMENSIONもそれに準じている。貨物を出し入れする扉は、後側に一か所LOCK出来る扉が付いている。
外寸 L×W×H(M/M) | 内寸 L×W×H(M/M) | 本体重量 | 最大積載量 | |
---|---|---|---|---|
20ft(アルミバン) | 6,058×2,438×2,591 | 5,926×2,349×2,382 | 1,790kgs | 22,210kgs |
20ft(スチールバン) | 6,058×2,438×2,591 | 5,899×2,352×2,386 | 2,220kgs | 21,780kgs |
40ft(アルミバン) | 12,192×2,438×2,591 | 12,052×2,346×2,382 | 2,870kgs | 27,610kgs |
40ft(スチールバン) | 12,192×2,438×2,591 | 12,033×2,352×2,386 | 3,740kgs | 26,740kgs |
貨物はこのコンテナの中に、FORK LIFT又は人手に依ってVANNINGされるのであるが、計算上では入っても、例えばDIMENSIONが3m×2m×1mの貨物は、FORK LIFTの爪の長さから言って、積載する事が不可能である。しかし、以下のOPEN TOPやFLAT LAGのコンテナではクレーンを使用したり、CARGOを横にしてFORK LIFTで積載できる。ただ、OPEN TOPのコンテナの主な利用法は、穀物(GRAIN)や鉱物(ORE)であり、本来の利用法ではない。なお、DRY CONTAINERの上部は、薄いSTEEL又はALMINIUMの板なので、コンテナ以外の貨物は載せることが出来ない。
(2) FLAT LAG
コンテナの高さが約2.3mなので大型のFORK LIFTが入れず、単体の重量が2t以上の貨物は積む事ができない。又、長さが3m以上の貨物は、FORK LIFTの爪の長さが長いもので1.7~1.8mであり、爪に載せると不安定になるので、DRY CONTAINERには入れる事が出来ない。その為、組立可能な骨組みだけのFLAT LAGは、横からも載せる事が可能なので、BULLDOZERや工作機械等の、重量、長尺貨物に適している。
(3) OPEN TOP
コンテナの上部が開いているので、化学反応を起こしにくい粉末、例えば鉱物(ORE)や穀物(GRAIN)等のバルク(BULK)物の積込みに適している。又、コンテナに入れるには嵩が大きく、上から落とし込まなければならない貨物にも利用できる。しかし、上にカバーを掛けても防水効果が弱いので、注意しなければならない。
(4) TANK CONTAINER
コンテナの枠組の中に、TANKを収納しており、小口ロットの液体を運ぶのに適している。そのTANKにも色々な種類があり、化学反応しない様な金属で造られた物もある。主にSHIPPER’S VANである。

2015年1月 於兵庫県神戸港
(5) REEFER CONTAINER
冷凍、又は冷蔵を要する貨物を運ぶ場合は、REEFER CONTAINERを使う。もしSEMI-CONTAINER CARRIER等で冷却装置を稼働させる電源が無い場合は、発電機を備えているREEFER CONTAINERが必要となる。これらの殆どは、軽油を燃料にしてDYNAMOを回しているので、排気の為、HATCH WAYに載せられる。主に運ぶ貨物としては、魚介類、食肉、乳製品等の食品である。

2015年4月 於福岡県博多港
次に、VANNINGされたコンテナの陸上での輸送方法を、下記にて紹介する。
VANNINGされたコンテナはCONTAINER CHASSIS(TRAILER)に載せられ、TRUCK TRACTOR(牽引車)と接続(JOINT)され、そのままCONTAINER YARDに輸送される。SEALAND社では、YARDに置く場合でも、ON CHASSISのままだと手早く輸送できるので、常にON CHASSISでYARDに置いているが、他社は、CONTAINER VANだけであれば、重ね積みも出来、場所や費用を多く取らない事と、またTRAILER(被牽引車両)の有効利用の為、野積みにしている場合が多い。
CONTAINER YARDに運び込まれたコンテナは、FORK LIFTやSTRADDLE CARRIERで積み重ねられる。LOADINGの際は、CONTAINER YARDより本船の船側までSHIFTし、本船のDERRICKやCRANE、もしくは岸壁のGANTRY CRANEを利用してLOADINGされる。

2015年4月 於福岡県博多港カメリアラインコンテナヤード

2015年4月 於福岡県博多港カメリアラインコンテナヤード ストラドルキャリアにて積まれているコンテナ

2014年9月 愛知県名古屋港 ガントリークレーン
コンテナの船積み
a) 大口貨物(FCL…FULL CONTAINER LOAD CARGO)
運賃も殆どの航路で、主にBOX RATEで決められている為、COMMODITY WISEの運賃が適用されず、小口ロット(LCL…LESS THAN CONTAINER LOAD)の様に割高ではない。
SHIPPER’S VANの場合もあるが、殆どの場合、CARRIER’S VANであり、SHIPPERはCARRIERからコンテナを借りてCARGOをVANNINGし、通関手続を済ませて、CY(CONTAINER YARD)に直接コンテナを運び込む。
以上が概略であるが、SHIPPER側の手続は下記の様になる。
SHIPPERの代理人である乙仲は、CARRIERからコンテナをCARRIERのCYで借り受け、その時に受け取ったコンテナの状態を確認する為、EQUIPMENT RECEIPT(機器受渡証)を交換する。貨物がSHIPPERの指示に依ってMAKERもしくはSUPPLIERから既に乙仲、もしくは乙仲の指定する倉庫、又はYARDに搬入されている場合は、コンテナをその場所に移動して、あらかじめ通常の方法で通関した貨物をVANNINGしてCYに持ち込む。又、工場でVANNINGする場合は、コンテナ扱申出書を税関に提出し、許可されれば、コンテナを工場に運び入れ、VANNINGの後、コンテナ詰貨物証明書を税関に提出し、税関検査の必要の無い貨物については、通関後、そのままCYに持ち込む。検査が必要な貨物については、税関が立合い検査をして、許可後コンテナをCYに持ち込む。その時、乙仲はコンテナの内容をコンテナ内積付表(CONTAINER LOAD PLAN)に記載し、輸出申告書の原本、そして必要部数を前もって作成したB/L ORIGINALとB/L COPYを共にCY OPERATORに手渡す。この場合、CY OPERATORは、事務が煩雑になるとの理由により、何らの貨物受取証も発行しない。
b) 小口貨物(LCL…LESS THAN CONTAINER LOAD)
FCLと違って、BOX単位で借りるには、量からしてBOXの運賃が高過ぎる場合、SHIPPERはCARGOを、CARRIERのCFS(CONTAINER FREIGHT STATION)に搬入する。CFS OPERRATORは、SHIPPERから受取ったCARGOを、自社のVANにVANNINGして、CYに持込む。
以上が概略であるが、SHIPPER側の手続は下記の様になる。
SHIPPERの代理人である乙仲は、通常の通関手続を終了した後、自社、又は乙仲が委託した倉庫(LCL CARGOの場合は原則として野積はしない)より、CFSに搬入する。その時、輸出申告書原本、前持って作成した必要部数のB/L ORIGINALとB/L COPY及びDOCK RECEIPTを手渡す。その場合もCFSは、事務が煩雑になるとの理由により、何らの貨物受取証も発行しない。この場合、CFSのカット(本船の到着迄にCARGOをCYに持込む必要があるので、CFSが設定する乙仲から貨物を受取る締切日)が、大体、本船到着の2日前なので、注意しなければならない。
又、特別の場合として、SHIPPER又はSUPPLIER(MAKER等)が、直接CFSにCARGOを持込み、後程、乙仲がそのCARGOをCFSから預かって、税関に持込み、税関検査を受け、CFSにCARGOを戻し、その時に、作成した必要部数のB/L ORIGINALとB/L COPY及びDOCK RECEIPTを手渡すことがある。この場合は費用が前者に比べて比較的安くなる場合があり、通関に要する日数も短くなるケースがある。