貨物の流れ、書類の流れ、金銭の流れに熟知していないと、思わぬところでトラブルに巻き込まれ、時間と金銭のロスを生じることになる。船社が悪い、梱包業者が悪いということをSHIPPERからよく耳にする。
相手の会社の仕事の内容を熟知していれば、相手のミスや怠慢より、不可抗力的な場合が多く、それ以上にその担当者である本人のミスが多いことに気付く筈である。
船社の担当者が船の事をよく知っているかどうかは、それぞれ各担当者の得手、不得手やその能力に依って大きな格差がある。例えば、自分の会社で他のセクションの事まで知っているものが、どれだけいるかを考えてみれば解るとおり、その担当者の能力次第なのである。
その担当者の責任感がどれだけあるか等を判断し、その能力を見極めて、任せる会社を決めるべきである。乙仲にしても梱包業者にしても、メーカーにしても同じである。
一般にSHIPPERの担当者は他に責任を転嫁できないので、貿易の流れ全体をしっかり把握した上で、各業者を手配する必要がある。
我々が輸出諸手続きをする場合、メーカーが、製品または商品を、梱包業者に搬入してからLOADING PORTで船積みするまでの作業の日数を逆算し、梱包業者に搬入する日を決める。
そしてその貨物を通関してもらう為にINVOICE、PACKING LIST(これらはFAXやE-MAILでも可能)、また必要とあれば輸出許可証のORIGINALを通関業者である乙仲に送付し、S/Oを船社代理店に提出してもらうためSHIPPING INSTRUCTION(これらはFAXやE-MAILでも可能)もまた乙仲に提出しなければならない。
在来船やRO/RO船の場合はS/Oを乙仲から代理店への提出する期限は、本船の入港の1~2営業日前までである。これを業界ではS/Oを入れるという。
またコンテナの場合は約2営業日前迄に入れる。乙仲はコンテナ輸送でLCLの場合S/Oの代わりにDOCK RECEIPTをCFSに提出する。FCLの場合はCYに提出する。S/O及びDOCK RECEIPTの入れる締切日のことをカット日という。
通関には大抵中2日必要なので4日、ライセンスが必要な場合は不測の事態を考えてプラス3日、また梱包に何日必要か、という具合にして船積日を決めるのである。むろん、通関を即時に出来ないこともない。これをマル特通関という。また税関に事前に申請しておけば営業日以外でも通関が出来る事も有り得る。これを臨時開庁と言う。しかし乙仲は毎日の計画を立てながら行動しており、担当者の休日出勤の場合等、経費が余分にかかり、そのような場合が頻繁であれば、たとえ乙仲費用を高く支払ったところで、乙仲にとっては良いお客様ではなくなるのである。
しかし我々は、アブノーマルな方法も知らなければならない。それを知った上で、正攻法で行うべきである。それでもトラブルが起こるのが貿易である。だからその時の手段として、アブノーマルな手段を熟知しておくべきである。
危険な綱渡りができることを、自慢する人間が多いが、そのような人間に限って危険を予知出来ない場合が多い。
よく仕事がこなせる人程、他人から見れば、その人の仕事が簡単に見えるものである。けれども、その仕事を簡単に行うために、その人がどれだけ調査、研究をしているかを考える人は少ない。